ブレグジット(合意なき離脱)とは何?日本企業への影響と撤退リスク

2018年12月。

ロンドンにあるビッグ・ベン(イギリスの国会議事堂)の前を歩いていた時、デモ集団を見かけました。彼らはしきりにブレグジット反対を叫んでいました。
 

毎年イギリスに行っていますが、ブレグジットが決定された2018年は移民の数が激減。

イギリスのメイ前首相は、移民受け入れ政策に反対の立場からブレグジットに踏み切ったといわれますが、その意味では成功した政策といえるでしょう。
 

しかし、ブレグジットが単なる移民受け入れ反対の政策ならば、どうしてこんなにも争いが長期化するのでしょう。

この点、ブレグジットはイギリスの文化的な要因、歴史的な要因,アイルランド政策との関係など複雑な問題を含んでいます。ブレグジットが日本企業に及ぼす影響にしぼってお話したいと思います。


 

ブレグジットって何?

ブレグジットとは、”Britain(イギリス)”と、”Exit(離脱)”の合成語です。

ヨーロッパはEUという共同体でまとまっています。ヨーロッパの主要な国、ドイツ、フランス、そしてイギリスなどを中心に、20以上の国が1つになっているわけです。
 

ですが、イギリスはEUから離脱したい。

これは冒頭にも書いたようにEU全体が難民に悩まされている(特にイギリスは裕福なので、難民に人気でなおさらダメージがデカイ)ことや、ドイツ中心のEUに疑問を感じているからでもあります。

 
ドイツがEUで一人勝ちしている現状は、こちらの記事でまとめました。

EUがドイツ一人勝ちな理由、覇権国としての立ち位置と負担
 

イギリスで2018年に行われた国民投票で、51.9%の有権者がブレグジットを了承。

逆に言うと、国民の半分は反対したということです。

だからデモが起きるほどイギリスは揉めているわけですね。
 

ある経済学者によれば、ブレグジットにより中長期的にイギリス国民の実質所得が減少する可能性があると言われています。

具体的には、昨年のブレグジット国民投票により、イギリス国民1人につき年間で404ポンド(約6万円)が失われたといわれています。
 

もちろん、問題はこんな単純な話ではないのですが、経済的な損失が大きいからこそ問題が激化しているのは事実です。

一人の給料が年6万円減るだけだろ?

と思うかもしれませんが、それだけでも相当生活は苦しくなるし、何よりこれは「平均値」の話でしかなく、職業によっては収入が半減する可能性すらもあるわけです。
 

では、このような不利益があるにも関わらずどうしてイギリス政府はブレグジットを行うのでしょう。ここにも、経済的な問題があるためです。

そこで、イギリスとEUの経済的な問題のお話をします。

 

どうしてイギリスはEUから離脱したいのか?

EU、露骨にいえばドイツからの経済侵略を防ぐためです。

話は1990年にさかのぼります。欧州為替相場メカニズム(ERM)に参加したイギリスは、ドイツマルクという通貨によって、イギリスのポンドが固定されてしまったのです。

 
ものすごくカンタンに言うと、ドイツマルクの価値の高低によりイギリスのポンドの価値も上下する仕組みとなったわけです。

こんな話はふつうはイギリス政府が納得するものではありませんが、当時のサッチャー前首相はERM参入を認めました。理由は、イギリスの様々な政治事情だったといわれます。

 
しかし、2年後の1992年にイギリスでポンド危機といわれる通貨危機が発生。

イギリスは一転して、自国の経済保護政策に政策転換をして、このポンド危機(暗黒の水曜日、と呼ばれます。)を乗り切ろうとしました。そのため、ERMから離脱したのです。
 

この事件以後、1999年にはEUの通貨はユーロになったのですが、イギリスはユーロ採用に及び腰となったのです。

つまり、ユーロによってイギリスの経済が左右されるのを恐れているのです。だから、イギリスでは今でもポンドが通貨なわけです。

 
しかし、自国の通貨を使えば、イギリスへの経済侵略を防げるのかというとそうはいえません。なぜなら、EUとは現在は政治的にも経済的にも、ドイツのことを指すからです。

ドイツは自国の経済力をもってユーロを一手に引き受けました。その経済力をもってEUの雄たるフランスから政治的発言力まで奪いました。このままでは、イギリスもフランスの二の舞となるでしょう。

まとめると、1992年のポンド危機という歴史的背景と、現在のEUのドイツ独裁という政治的背景が、イギリスのブレグジットの理由といえるでしょう。

 
それでは、イギリスのブレグジットによって、日本企業への影響がどのようなものかをお話しします。
 

ブレグジットによって日本企業はどんな影響をうけるの?

EUとはなにか、簡単にまとめてみます。

EUとは、経済的共同体であり、ヨーロッパ27か国を1つの経済市場とみる仕組みです。

単純にいえば、日本ならば日本人が日本国内で円を使って自由に買い物ができます。つまり、円の市場は国内だけで1億2000万人の内需が見込める市場になります。

ヨーロッパ各国も、例えばイギリス1国ならば、その内需は人口数6600万人にすぎません。しかし、EU全体を市場とみなせるならば、5億1180万人にのぼります。

 
つまり、ブレグジットにより、イギリスは5億1180万人の内需が見込める市場を放棄してしまうことになります。経済的な大打撃がブレグジット反対の理由と言えます。

さて、EUを内需と表現しましたが、イギリスがEUに留まる限り、イギリスはその輸出において関税も通関手続きも不要と言えます。
 

この、関税および通関手続き不要というメリットがイギリスにある日本企業へのメリットでもあるわけです。

つまり、日本からEUに輸出する場合、関税がかけられて純売上は低下し、通関手続きという時間的ロスが生じるので、商売のうまみが少ないのです。

しかし、イギリスに日本企業があれば、さきの関税などのメリットがあるので、ブレグジットにより在英日本企業は撤退という選択も考えなければならなくなりました。
 

現に、自動車産業ではホンダは工場の閉鎖、日産は生産計画の撤回に踏み切りました。

また、電気機器産業も、パナソニックはアムステルダムに移転をし、ソニーもオランダへ移転を決意。製薬業界においても、通関手続きという時間的ロスから、薬品の安定供給に問題が生じそうです。

イギリスは世界第5位の経済大国といわれます。しかし、ブレグジットによりその地位はどうなるかわかりません。日本企業がとった一連の措置は少なくとも経済的には妥当なものといえるでしょう。
 

まとめ

経済的側面にしぼりブレグジットのお話をしました。問題を単純化しすぎかもしれませんが、ブレグジット反対の理由は経済的なものといえるでしょう。

たしかに、離脱すれば経済的大打撃はあるでしょう。しかし、残留してもドイツによる経済侵略の危機は止まりません。

1つのプランですが、1億2000万人の日本市場と提携すれば、イギリスはEUに十分対応できるのではないでしょうか。そこにイギリス連邦であるオーストラリアやニュージーランドを加えれば、巨大市場が新たに生まれると私は思います。

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